【副業・兼業①】そもそも兼業を禁止することはできるのか?

働き方改革の一環として、政府は兼業・副業を推進すべく「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公表されました。
一方、現在就業規則上で「副業・兼業は禁止」と定めている企業様も多いでしょう。
今回は、副業・兼業を会社としてどう取り扱っていくか、また実務面での注意事項は何かについて
ガイドラインやガイドラインのQ&Aを踏まえて、数回にわけてご説明していきたいと思います。

 

1.副業・兼業を全面禁止することはできません

たまに、就業規則に「副業および兼業は禁止する」と明確に記載されていることがありますが、
このように全面禁止をすることはできません。
就業規則で労働者を管理することができるのは、労働契約の勤務時間内であり、勤務時間以外の
時間をどのように使うかは個人の自由だからです。
そこで、現在多く使用されているのが「会社の許可なく副業及び兼業をしてはならない」という
表現です。
「禁止はしないけど許可は必要よ」ということですが、こちらもこの表現のみだと規定としては
不足しています。
そもそも自由に使える個人の時間について何をするか、会社に「許可」を得る必要はないためです。
副業・兼業を「禁止・許可」するにあたっては、判例で認められている次の要件に
該当する場合に限定しなくてはなりません。


2.副業・兼業を制限することができる事例

現在、判例では以下に該当する場合は副業・兼業を禁止・制限することができるとされています。
①労務提供上の支障がある場合
②企業秘密が漏えいする場合
③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により、企業の利益を害する場合

「会社が許可すればやっていい」ではなく
「上記に該当する場合、会社は許可しないことができる」のです。
自社の就業規則が、上記解釈のできる表現になっているか、
是非一度ご確認ください。
※あくまでも判例による考えで、現時点の法令に違反しているということではありません。

 

3.厚労省モデル就業規則

それでは厚生労働省のモデル就業規則はどうなっているでしょうか。
実は、ガイドラインの公表を踏まえ、平成30年1月31日付のモデル就業規則に
副業・兼業に関する条項が改定されました。

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(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う
ものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会
社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合

     ~厚生労働省モデル就業規則(平成30年1月31日版)より抜粋~

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今回ガイドラインで副業・兼業が推進されることを踏まえて
・原則OK
・許可申請ではなく届出制
・判例で認められている要件に該当する場合は「禁止又は制限」することがある

という構成になっています。
平成29年12月時点のモデル就業規則は「許可なく他の会社等の業務に従事
しないこと」となっていましたので、スタンスが大幅に変わっています。

現時点でガイドラインに法的効力はありませんので、必ずしも上記のように
定めなくてはならないということではありませんが、就業規則の見直しなどを
行う際に、参考としていただければと思います。