【副業・兼業②】労働時間の管理と法定労働時間の考え方

従業員の副業・兼業を認めた場合、その副業・兼業が個人事業であれば、労働基準法の適用外となりますが、
「労働契約」である場合、労働時間の管理方法についてしっかり対策を立てなければなりません。
なぜなら、副業・兼業により時間外労働や法定休日労働が発生しても割増賃金の支払い義務が生じるためです。
このあたり「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&Aに記載されている内容を踏まえてまとめたいと思います。

 

1.副業・兼業の就業時間を把握しなくてはならないのか?

ガイドラインでは、副業・兼業が労働契約である場合、把握しなくてはならないとし、
その根拠を労働基準法第38条1項としています。

(時間計算)労働基準法第38条
1.労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

これを読む限りでは、自社の事業場をさしているようにも読み取れますが、
労働基準局通達(昭和23年5月14日基発768号)で「事業場を異にする場合」とは
事業主を異にする場合を含むとされています。
つまり、ガイドライン云々の前から、副業や兼業先での労働時間まで把握をしなければ
ならなかったことになります。
尚、副業・兼業が個人事業の場合は労働契約に該当しませんので、法的義務は
発生しませんが、就業時間を把握し過重労働にならないよう配慮することが
望ましいとされています。

2.三六協定の締結と割増賃金

さて、把握さえすればよいのかというと、そうはいきません。
例えば自社は時間外労働や休日労働がないため三六協定は締結していないという会社でも
新たに採用した従業員が実は他でも既に勤務しており、その勤務時間と通算すると
法定労働時間を超える場合、三六協定を締結していないと法定労働時間を超えて
勤務させることができないのです。
さらに、副業・兼業により結果的に法定労働時間を超えて勤務させた場合、
割増賃金の支払いも行わなければなりません。
この割増賃金の支払いはどちらの事業主が行わなくてはならないのか?
については、次回詳しくご説明したいと思います。

 

3.副業・兼業の労働時間をどのように把握するのか?

今のところ法令上、副業・兼業先の勤務実績の把握する方法についての定めはありません。
ガイドラインでも「労働者からの自己申告により副業・兼業先での労働時間を把握する
ことが考えられる」という記載があります。
自己申告による方法というのは、実際一番お手軽な気がしますが、実態としては
どうでしょう?
例えば、副業・兼業先を実は早退していたり、有給休暇を使用している場合、
契約上は法定労働時間を超えていても、実態としては超えていない可能性もあります。
申告する従業員本人も悪気なく申請を間違えることも考えられます。
他に考えられる方法としては「副業・兼業先のタイムカードのコピーを提出させる。」
でしょうか。
副業・兼業を推進するという趣旨はよいのですが、給与計算の担当者としては
ちょっと悩ましいことになりそうです。