【女性活躍推進④】なぜ今女性活躍推進か?

これまでは、女性活躍推進法と関連する認定制度、助成金についてご案内してきましたが、%e8%a1%8c%e3%81%8d%e3%81%8b%e3%81%86%e4%ba%ba%e3%80%85%e5%a5%b3%e6%80%a7%e5%a4%9a
今回はそもそもの部分についてまとめたいと思います。
前回までと異なり、個人的な見解も多く入りますので予めご了承ください。

タイトルに対する私自身の考えは
「長期的に企業成長を持続したいのであれば必要。」です。

現時点で女性の活躍が少ない企業様にとっては、わざわざ「女性を活躍させろ」と
法律で定められ、正直「面倒だな」と感じているケースも少なくないと思います。
確かに、女性が活躍できる環境が整っていないことで今から2、3年で経営の危機が訪れる
というこは、まずないですしょう。
ただ、5年10年という長期的なスパンで考えたらどうでしょうか?

なぜ「女性の活躍が必要なのか?」そしてなぜ「今なのか?」2つの視点に分けて
考えてみました。

1.なぜ「女性の活躍が必要なのか?」

 日本の労働市場においては圧倒的に女性が活躍しにくい状況のため「女性の活躍推進」が
強調されているのですが、「男性でも女性でも多様な仕事観・多様な生活環境の人が活躍できる」のが
正しい趣旨であると私は思っています。
ではなぜ、活躍できる人を増やす必要があるのかというと、次のような理由ではないでしょうか。
  ①日本における労働人口が縮小しつづけることが確定していること(労働市場の縮小)
  ②働く人の価値観や生活環境が変化していること(価値観・生活環境の多様化)
  ③企業において活躍できる人の比率が高い方が成長に結びつくこと(多様な人材の活躍の実現)

①労働市場の縮小%e9%80%9a%e5%8b%a4%e9%a2%a8%e6%99%af

 ①②に共通しているのは、現在多くの企業様が重宝している
「長い時間と忠誠心を会社(仕事)にささげる人」の絶対数が減少していくということです。

 まず、①の労働市場の縮小について考えてみます。
日本の場合、高齢化に加え少子化があまり改善されないことにより他の先進国と比べても
早いスピードで人口減少が進行しており、それはこの先10年単位で継続します。
仮に「長い時間と忠誠心を会社(仕事)にささげる人」の労働市場全体における割外が
変わらなければ、当然絶対数は減少していきます。割合が増えれば絶対数を維持することも
可能ですが、そんなことが起きるでしょうか?答えがNOと考える理由が②です。

②価値観・生活環境の多様化

 ②の要素は二つあると思っています。
 一つは、働く人の属性の変化です。従来の労働市場は若い男性、もしくは男性並みに働ける若い女性が
中心でしたが、労働人口の減少に備えて考えられている新戦力は、ご存知のとおり
「働くことに一定の制限がある女性」「高齢者」「外国人」です。
どちらかというと従来の労働市場の中で「採用対象外」であり、企業内で「マイノリティ」であった
属性の人たちと言えるでしょう。そしてなぜ、「採用対象外」であり「マイノリティ」であったかの理由こそ、
「価値観・生活環境が異なるため」でしょう。
つまり、労働市場の縮小を抑えるために、新戦力が投入されても「長い時間と忠誠心を会社(仕事)にささげる人」
の比率を高めることは難しいといえます。

 二つ目は、世代による価値観の変化です。%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%82%b2%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%ae%e7%b8%ae%e5%b0%8f
 既に専業主婦世帯と共働き世代の比率は逆転しています。
「イクメン」という言葉が登場し、会社の中に「家庭の
事情」を持ち込む男性社員がでてくるのを「価値観が違う」
「理解できない」と感じている方もベテラン世代を中心に
少なくないのではないかと思います。
 ワーキングママを見ても、少し前までは子どもがいても
男性並みに働き、仕事を家に持ち帰り、子どもが寝てから
睡眠時間を削って仕事をするスーパーママが中心でしたが、
今はもう少し仕事と生活のバランスを考えたワークスタイル
が目指すのが主流ではないでしょうか。
 また、育児に限らず介護を抱える従業員が増えることも
避けられません。本人の意思によらず生活環境が変わる人も
増えていくことになります。
 この流れが逆戻りし、再び「長い時間と忠誠心を会社(仕事)にささげる人」が主流の世代が
再登場するのは考えにくくはないでしょうか。
 ①と②を総合的に考えると、従来企業にとって「採用ターゲット」であり「メジャー」であった
「長い時間と忠誠心を会社(仕事)にささげる人」の労働市場における絶対数は減少を避けられません。

 では、企業が成長していくために必要な人材の確保はどうすればよいでしょう。
選択肢の一つは、とことん「長い時間と忠誠心を会社(仕事)にささげる人」とって魅力的な会社となり、
そういった人材を確保することに力を注ぐことです。
 もう一つの選択肢が③の「活躍できる人の比率が高い企業」になること、つまり「働くことに一定の制限が
ある女性」「高齢者」「外国人」も活躍し、成果発揮ができる職場にすることです。
どの戦力をメインに取り入れていくかは事業の特性にもよると思いますが、多くの企業様では
「働くことに一定の制限がある女性」が身近な選択肢ではないでしょうか。

③多様な人材の活躍の実現%e8%89%b2%e9%89%9b%e7%ad%86%e5%a4%9a%e6%a7%98%e6%80%a7

 ①、②では従来採用ターゲットとしていた層がいなくなるから、ターゲットの幅を広げましょう
というネガティブなアプローチでしたが、そもそもを考えると、「男性・女性によらず、従業員
全員が活躍できる方が良い」ということに異論がある経営者はいないように思います。よく、
「会社の中で本当に活躍し、会社の成長を支えているのは2割」と言いますが、それで良しと
するのは、あまりに効率が悪くないでしょうか。
 もちろん会社の中には、「能力の高い人」「そうでもない人」が存在すると思いますが、
「能力が高いのに発揮できない人」が「そうでもない人」の中に埋もれている、もしくは
評価を得られず辞めてて行くというケースが多々あるように思います。それは「能力の高い人」
の基準が「(売上などの)成果を発揮できる人」であり、その発揮方法として男性中心の職場への
連帯と、長時間労働が用いられていることが良しとされているためではないでしょうか。
 原因や対策についてはまたの機会といたしまして、「なぜ女性の活躍が必要なのか」への答えとしては
シンプルに、「男性だけでなく女性も活躍できたほうが、採用の選択肢も広がり、会社へ貢献してくれる
従業員の比率も高まるから」です。

次回は、「なぜ今必要なのか?」という部分について考えてみたいと思います。