【無期雇用転換制度⑩】関連して行われる制度等変更

いよいよ2018年4月が目前となりました。
現時点でも無期雇用転換権が発生している方はいらっしゃるはずですが、
4月を迎えることで、その権利を有する方が格段に増えるはずです。
この法令が労働市場にどのような影響を与えるのか、興味深いですね。

さて、労働契約法18条の影響をうけての変更かな?と思われるものが
ありましたので、ご案内したいと思います。

 

1.キャリアアップ助成金(正社員化コース)

比較的受給しやすいといわれていた助成金ですから利用されている企業様も
多くいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらの制度の要件が4月以降改定される見込みです。

<拡充される事項>
1年度1事業所あたりの申請支給上限人数が20人(これまでは15人)となります。

<追加要件(1)>
正規雇用等へ転換した際、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の賃金を比較して
5%以上増額していること。

<追加要件(2)>
有期契約労働者からの転換の場合、対象労働者が転換前に事業主で雇用されていた期間が
3年以下に限ること

キャリアアップ助成金(正社員化コース)にはいくつかのパターンがあります。
  ①有期契約(契約社員・パート等)から正規社員への転換
  ②有期契約(契約社員・パート等)から無期雇用社員への転換
  ③無期雇用社員から正規社員への転換

正規社員と無期雇用社員の違いについては、こちらのシリーズをお読みいただいている方は
十分認識されていることとおもいますので割愛致します。
(お読みでない方は是非バックナンバーをお読みください!)

今回追加要件となった事項はこれまで②の場合のみ適用されていたのですが
4月以降はパターンを限定しないことになる見込みです。
(助成金関係の正式な内容は4月以降に公開されます。)

2018年4月以降は労働契約開始から5年を経過すると無期雇用転換権が発生しますから、
キャリアアップ助成金も法的効力が発生するかなり前の段階での転換について助成しますよ
ということなのでしょう。

2.離職票の離職理由
こちらは既に2月5日から運用が開始しております。
雇用保険の喪失手続きをされている方は、手続の際毎回案内が添付されるのでご存知ですね。

<取扱が変わる方>
以下の①~③に該当する方
   ①採用当初はなかったが、契約更新上限や不更新条項が追加された方
   ②採用当初の契約更新上限が引き下げられた方
   ③平成24年8月以降に契約開始し、4年6ヶ月以上5年以下の契約更新上限により離職した方。
    (平成24年8月以前から上記更新上限が設定されていた場合を除く)

<変更箇所>
離職理由欄「3労働契約期間満了等によるもの」のうち
「(1)採用又は定年後の再雇用時等にあらかじめ定められた雇用期限到来による離職」
にチェックをいれ「具体的事情記載欄(事業主用)」の欄に以下の①~③を記入する。
   ①上限追加
   ②上限引き下げ
   ③4月6ヶ月以上5年以下の上限

尚、手続きの際には採用当初の雇用契約書と最終更新時の添付が必要となります。

この変更によりハローワークに離職区分がどうかわるのかを確認しましたが、
現時点で公開されている資料は無いようです。
ただし、実際には離職者にとって有利な形で離職区分判定が変わっているとのことでした。

個人的にはこのデータが集まることにより、労働契約法の18条が有期契約の更新上限に
どのような影響を与えたのがわかるので、結果集計などが公表されると興味深いと思っております。

 

【無期雇用転換制度①】労働契約法第18条無期労働契約への転換とは

【無期雇用転換制度②】無期転換ルールの特例

【無期雇用転換制度③】必要な準備~無期雇用社員の就業規則を作成する前に~

【無期雇用転換制度④】必要な準備~無期雇用社員の就業規則を作成する前に、その2~

【無期雇用転換制度⑤】必要な準備~法的対策①就業規則の整備~

【無期雇用転換制度⑥】必要な準備~法的対策②無期転換手続の整備~

【無期雇用転換制度⑦】就業規則作成のポイント①第二定年

【無期雇用転換制度⑧】無期雇用転換権の周知

【無期雇用転換制度⑨】無期雇用転換権の放棄