【無期雇用転換制度⑥】必要な準備~法的対策②無期転換手続の整備~

 無期転換権の発生にむけて就業規則の整備以外にもう一つ必要なのが、無期転換手続きの整備です。
中には「従業員にはあまり知られないように・・・」とお考えの経営者様もいらっしゃるかもしれませんが
それは逆にリスクにつながる可能性があります。

1.口頭で成立する無期雇用転換の申し入れ
 労働契約はもともと口頭で成立します。そのためこの無期雇用%e6%8c%99%e6%89%8b%e5%a5%b3%e6%80%a7転換の申し入れも法律上は口頭で
成立することになります。
 無期転換権を得ても特段無期転換の申し入れをしていなかった有期契約の従業員に対して、
有期契約の終了をしたのちに
「私は無期転換の申し入れをしているから契約終了は無効だ。」
という申し出が…。そんなことが起き得るのです。
 その状況が発生するのを回避するため、少なくともその状況から労使の紛争に至った場合に
会社のリスクを回避するためには、無期転換権行使の方法を会社側で定め、従業員に周知する
ことが必要となります。

2.無期転換申込権と行使方法の周知

 口頭成立するこを武器に後出しジャンケンで無期雇用契約の成立を訴えられることを
避けるためには、会社として無期雇用転換の制度を対象となる従業員に周知し、
無期転換申込権を行使するために必要な手続きを定めることが大切です。
 方法としては次の方法が考えられます。
 ①有期契約の就業規則に無期転換申込権の行使の方法を定める。
 ②無期転換申込権が発生する契約更新の際、契約書面上に無期転換申込権がある旨を記載する。
 つまり、会社としては十分に周知をしているので、無期転換申込に関する手続き方法を
対象となる従業員が知らなかったことは無いという状態とするわけです。

3.無期転換申込権の事前放棄は無効

 無期転換申込権の対策として「無期転換申込権を行使しない」という誓約書をとっては?
とお考えになるケースもあるようですが、仮に誓約書をとったり無期転換権を行使しないことを
契約更新の条件とすることは、法第18条の趣旨に反するものとして無効になる可能性が高いです。


2018年4月まであと1年半弱です。
事前の周知期間を考えると2017年3月までには準備をすすめておかれるのが良いでしょう。
自社の有期契約の位置づけについて整理する良い機会と捉えて取り組まれてはいかがでしょうか。

 

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